笹川陽平氏に聞く「アジアの平和構築と日本の役割」



笹川陽平氏は公益財団法人日本財団の会長であり、様々な社会貢献活動をされています。その笹川会長にお会いし、「アジアの平和構築と日本の役割」について語ってもらいました。UBrainTVの柏木展子さんがインタビューアーとして聞いています。
笹川氏は、世界保健機関のハンセン病制圧大使としての活動もされており、日本のハンセン病人権啓発大使もされています。ハンセン病患者や回復者に対する差別と偏見は今でも存在しています。ハンセン病とは末梢神経と皮膚に病変を起こす感染症ですが、既に薬と治療法が確立された完治する病気です。しかし、人権侵害はまだあり、そうした人たちのための活動を地道にされています。優しさと強さを持ち合わせた人であると思っています。
アジアの平和構築にも積極的に関与されてきました。2012年6月11日にはミャンマーは少数民族福祉向上大使(日本国)に就任し、2013年2月にミャンマー国民和解担当日本政府代表(日本国)に就任しています。ミャンマーは今は経済成長の目覚しい国として注目されていますが、今なお国内での対立はあります。相互の不信と憎悪が残存し、その克服は大きな課題です。
笹川氏は、日本の第二次世界大戦での加害を踏まえつつ、その反省も含めて、アジアの平和の構築のために尽力されてきたのです。アジアの平和と繁栄のための前向きな活動をされてきました。特に力を入れてこられたのは青少年の育成・教育です。そうした思いを語ってもらっています。
笹川氏が教育として重要と考えていらっしゃるのは、弱者を思いやる実践的な教育。障害者や貧困者への支援や思いやりがある人材の育成が必要だと語られました。その積み重ねが世界平和への原点となるというのです。ハンセン病患者・回復者への支援もこの視点からのものでしょう。「20世紀は戦争の世紀、しかし21世紀は平和の世紀にしなければならない」として、世界の若者の交流と理解の促進が必要と言われます。まさにその通りであると思います。多くの若者が国籍、人種、階層を超えて交流し、友情を育むこと。これが世界平和への王道と主張されました。
笹川氏が会長を努められる公益財団法人日本財団は特に海の環境等に力を入れています。その視点から、宇宙船地球号の発想が必要だとも主張されました。国や人種、民族の枠に縛られるのではなく、同じ地球に住む地球人としての意識を持ち、地球環境の保全に協働をしていくことが必要なのです。こうした発想に私たちが切り替えることができるのかどうか。まさに私たちは岐路に立たされていると言えます。
私たちはこれからどのような貢献を地球の平和と環境保全、繁栄のためにできるのか。笹川氏の話は示唆に富むものでした。
笹川氏のインタビューは下記のウエッブアドレスで聞くことができます。
http://www.ubraintv-jp.com/watch.php?id=399



児玉克哉
三重大学副学長・教授
三重大学副学長・人文学部教授。専門は地域社会学、市民社会論、国際社会論、マーケティング調査など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム事務局長を務め、開かれた政治文化の形成に努力している。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し、行動する研究者として活動をしている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。

Posted by hnm on 月曜日, 8月 17, 2015. Filed under , , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

人気の投稿

.

2010 . All Rights Reserved. - Designed by