ミャンマー、急成長の衣料品製造業に課題 地場系工場、外資に注文集中で苦戦



ミャンマーは輸出好調で衣料品製造業が急成長を遂げるなか、課題が山積していることも浮き彫りとなってきた。ミャンマー衣料品製造業者組合(MGMA)によると、2014年の同国の衣料品輸出額は15億ドル(約1838億円)。12年の9億ドル、13年の12億ドルから順調に増加が続く一方で、最低賃金をめぐる労使対立や児童労働などの課題もみえ始めた。現地紙ミャンマー・タイムズなどが報じた。
 同国は03年に欧米諸国からの経済制裁を受け、衣料品製造業は50%以上を占めていた主要輸出先の米国との取引を失って大打撃を被った。その後、10年に始まった民政移管への流れを受けた制裁緩和から業界は活気を取り戻し、同年に120社だった工場は翌年には200社に急増。今年は外国へ輸出する衣料品の製造工場だけで275社となった。衣料品製造に従事する労働者も10年比で10倍となる20万人に達したもようだ。
 13年にはスウェーデンのアパレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)がミャンマーの契約工場での製造を開始したのをはじめ、14年は米国カジュアル衣料最大手ギャップ(GAP)も委託製造を開始した。H&Mが現在までに契約工場を14社に増やし、GAPが1年で発注量を3倍にするなど、外資もここにきて事業を活発化させている。
 一方、MGMAは中国や韓国、台湾といった外資系工場が大手ブランドからの発注を増やすのと対照的に、地場系工場が伸び悩むといったひずみが生じていると指摘する。背景には世界のアパレル大手が児童労働や工場の安全性などに関する第三者機関の監査を厳しくしていることなどがある。
 MGMA幹部は「監査に合格できるのは大資本の外資系工場だけで、地場系工場には厳しすぎる」と主張。大手アパレルでは契約工場に18歳未満の就業を原則として認めていない企業が多いが、同国では18歳以下の就業が多いという事例を挙げ、「ミャンマーはまだ貧しい国だ。順守に向けた猶予期間が4、5年は欲しい」と訴えた。

また、安全面でも監査に合格できないために国内の小規模な注文しか取れず、結果として設備投資に回す資金が不足する悪循環が生じていると指摘。外資系工場に大口注文が集中するようでは地場系工場の成長は望めないとの懸念を明かした。
 さらに、法定最低賃金をめぐる問題もここへきて拡大している。同国はこれまで法定最低賃金がなかったが、政府が先月、日給3600チャット(約390円)に設定すると発表した。
 しかし、5000チャットとしてきた労働者側と2000チャットとしてきた経営者側との主張の隔たりは大きい。今月は数百人規模のデモが行われるなど、依然、対立が続いている状況だ。
 同国の衣料品製造業にはこのほかにも、電力不足や港湾インフラの未発達といった課題も指摘されている。復活を遂げた業界が持続可能な成長を実現するためには、政府の政策面での支援も必要となっていきそうだ。(シンガポール支局)

SankeiBiz














幼稚園くらいが、小学生くらいに抱っこされ…ミャンマーの貧困問題

ミャンマーの最大都市ヤンゴンの中華街には、安くておいしい居酒屋が軒を連ねる通りがある。道路に張り出したテーブルで夜、やっと涼しくなった風を感じながら傾けるビールは格別だ。つまみを売り歩く行商人とのやりとりも楽しい。だが、困ってしまうのは物ごいの子供への対応だ。

 幼稚園くらいの子供が、小学生くらいの先輩格に抱っこされ、手を出してくるケースが多い。いつも寄ってくるのは、連れのミャンマー人ではなく、外国人である私の方だ。

 小銭を渡してしまえば楽だが、金は背後にいる大人のポケットに入り、同じことが繰り返される。心を鬼にする。だが、小さい方が手を合わせて額をこちらの靴に打ちつけてくると、ビールものどを通らない。

 何組めかで根負けし、手元のくし焼きを渡してみた。先輩格は弟分にも分け与え、2人でその場で平らげた。礼も言わずに隣の外国人客に無心を繰り返していたが、彼らの栄養にはなったろう。そんな妥協策を繰り返し、飲み続けた。

 2011年の民政移管後、ヤンゴンには地方や外国から人の流入が続き、家賃高騰や渋滞が深刻化している。今秋実施の総選挙では民主化ばかり注目されるが、インフラや貧困問題の解決も待ったなしだ。ビールの苦みが増してきた。

(吉村英輝)

産経新聞



Posted by hnm on 木曜日, 7月 23, 2015. Filed under , , , , , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

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