会見の一問一答

ミャンマーの首都ネピドーの大統領官邸で毎日新聞のインタビューに答えるテインセイン大統領=2015年4月9日、春日孝之撮影


会見の一問一答


ミャンマーの首都ネピドーで毎日新聞の単独会見に応じたテインセイン大統領との一問一答は次の通り。大統領は「国民民主連盟」(NLD)議長のアウンサンスーチー氏の政治的役割について「彼女は自分の道を自分で選ぶ必要がある」と突き放した。

--「民主化」改革の成果と課題は。

 ◆最大の成果は無血で民主化システムへと移行したことだ。一方、西部ラカイン州で民族・宗教紛争が継続しており、解決に向けて努力している。少数民族武装勢力と「全土停戦」協定の草案に合意する段階までこぎつけた。経済では1人当たりの国内総生産(GDP)を3000~5000ドル(約36万~60万円)に引き上げようとしているが、1000ドル程度にとどまっている。

 --少数民族との和平実現に向けて、相互不信のほかにどんな要素が絡んでいますか。

 ◆英国の植民地支配下での分割統治政策が民族間の不信をもたらした。そして1948年の独立以来、相互不信は増幅した。彼らは要求を実現するために武力を用い、紛争が始まった。約60年間にわたって、自らの民族や宗教、イデオロギーのための要求ばかりしてきた。これでは、信頼を築くのは難しい。

 民政移管後の4年間に多くの障害が解決されようとしている。われわれは停戦協定の草案に署名した。間もなく合意が実現し、政治協議に入る。恒久和平を実現する必要がある。

 --民族問題は憲法改正に影響しますか。

 ◆部分的には関係する。民族問題を解決するため、各民族はそれぞれの要望を憲法改正に盛り込むことを望んでいるからだ。

 --停戦協定が合意された以上、改憲手続きを定めた憲法436条改正に踏み切る時期ではないですか。

 ◆改正手続きを定めた条文の改正手続き自体も現行憲法に定められている。わが国で憲法改正が必要になった場合、憲法の規定に従って議会が役割を果たし、国民投票が実施される。憲法改正の手続きは既にある。

 --憲法が改正されないと、アウンサンスーチー氏は大統領就任の資格がありません。その場合、彼女はどのような政治的役割を果たせばいいでしょうか。

 ◆憲法改正の有無は、国民が選んだ国会議員が決めることだ。改正は国会次第であり、住民投票での国民の意思による。「もし憲法が改正されなければ」という質問は、一つの意見に過ぎない。もし憲法が改正されない場合、彼女は自分で自分の道を選ぶ必要がある。

 --(2011年の)スーチー氏との初会談後、スーチー氏の父であるアウンサン将軍の肖像の前で並んで写真を撮りました。

 ◆私の執務室には、歴代大統領の肖像が飾られており、将軍のものもあった。彼女に協力するよう説得したことはないが(国政に関する)自分の考えは伝えている。意見の相違も会談を重ねて解決していきたい。

 --スーチー氏や両院議長ら主要6者の10日の協議で、大統領は憲法改正にどのような方針で臨みますか。

 ◆6者協議は議会が開催を要求した。まず、議会の意見を聞き、検討したい。

 --民政移管後の国軍の役割は。

 ◆ミャンマーの歴史を振り返れば、政治から国軍の役割を切り離すことはできない。独立直後に誕生した議会制民主主義が機能しなくなった時、国軍が国をコントロールしなければならなかった。国難に直面した時、常に国軍は立ち上がり、国家に対して責任を果たしてきた。

【ネピドー春日孝之】
毎日新聞

Posted by hnm on 月曜日, 4月 13, 2015. Filed under , , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

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