ミャンマーではドル紙幣まだ必携-カード決済普及は依然多難
bcjpnog, bcjpnon, bcjpnoo, Htun Naing Myint 月曜日, 10月 21, 2013

10月21日(ブルームバーグ):1年前、ミャンマーにはATM(現金自動預払機)がなく、クレジットカードを出しても読み取り機を備えるホテルや飲食店が一軒もなかったため、門戸開放した同国を訪れる大勢の外国人は米ドルの新札を持ち歩き、全ての支払いを現金で行わざるを得なかった。
そうした状況がここにきて大きく変化している。同国最大の民間銀行カンボーザ銀行(KBZ)によると、クレジットカードとデビットカードの読み取り機は2500台、ATMは450台導入され、ヤンゴン中心部にある寺院シュエダゴン・パゴダのゲート周辺にも少なくとも3台のATMが設置されている。
国際通貨基金(IMF)代表団を率いて昨年11月に初めてミャンマーを訪問した時にこうした機器は全くなかったと話すのはマット・デービス氏。同氏によれば、現金を詰めたポリ袋を必ず持ち歩かなければならない必要性は低下している。ただ同氏はカードに全面的に頼ることはまだできないとも述べ、「支払いの慣習が変化するには時間が必要だ。ミャンマーはまだ現金経済であり、しばらくはその状態が続く」と予想する。
だが、ビザやマスターカードが道を切り開いていけば話は違ってきそうだ。マスターカードはミャンマーの銀行と2012年9月から提携を結び始め、これまでに7行にライセンスを供与。マスターカードの決済端末を285の商業施設に設置した。マスターカードで現金を引き出せるATMはヤンゴン市内に少なくとも130台、国内全体では約210台ある。
ビザは8行にライセンスを供与した。ホテルや飲食店、旅行代理店、航空会社、小売店、土産物店といった観光客がよく訪れる550の商業施設が加盟し、利用可能なATMは200台余り。
銀聯カード
残り1665台の決済端末が対応するのは、上海に本拠を置く中国の決済ネットワーク、銀聯のカードとミャンマー国内で発行されたデビットカード。銀聯は過去10年で141カ国に事業を拡大し、決済の量ではビザに次いで世界2位。これらの支払いはミャンマーの国内銀行と中央銀行が2012年9月に設立した国内決済ネットワークを利用して決済される。銀聯に続いて、日本のジェーシービー(JCB)もミャンマーの国内決済ネットワークと提携した。KBZ幹部によると、国内決済ネットワークは今月中にJCBカードの取り扱いを開始する予定。
ミャンマー進出企業向けコンサルティングと市場調査を行うトゥラ・スイスのアウン・トゥラ最高経営責任者(CEO)は、同国を訪れる観光客やビジネスマンのニーズに比べると、カード決済端末の導入数は「非常に少ない」と指摘。カードが受け入れられたとしても、決済端末が作動しなかったり、インターネットや電話回線、電力供給の不調で使えないことが多いと述べ、ATMから引き出せない場合に備えてドルの新札を準備しておくことを観光客やビジネスマンに勧めると語った。
原題:Sacks of Cash in Myanmar Hard to Displace for MasterCard,Visa(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Sanat Vallikappen,vallikappen@bloomberg.net