ミャンマー投資めぐりトラブル増加 手口巧妙…解約もできず



MAPCO(マプコ)の株券

アジア最後のフロンティアなどと呼ばれ、投資・進出先としての注目を集めるミャンマー。関心が高まるのはいいが、そうなるとトラブルも増える。なかでも最近多いのが、投資詐欺にひっかかったという声だ。先日会ったある中小企業の経営者は、ミャンマーの未公開株や不動産を組み合わせたという投資ファンドに数百万円を出資。あとから解約を申し入れたが、その後なしのつぶてだという。いくら成長著しいミャンマーとはいえ、うまい話には落とし穴があるという意味で、その手口を紹介すると…。
 知人がミャンマーへの関心を持つようになったのは昨年。年末に都内で開かれた大規模なミャンマーのビジネス投資セミナーに参加したのが始まりだ。「ミャンマーへの進出の前に、経済の実態を知るためには実際に投資するのが一番と考えたからだ」という。
 セミナー自体はミャンマーの株式や不動産などの投資環境について話を聞くもので、数百人が参加した。
 問題はここからだ。セミナーで知り合ったアジア株の投資専門家という人物に誘われ、知人は、その投資家が企画したミャンマー現地視察ツアーに参加した。ツアーは3泊4日ほどの日程で、参加者は20人弱。ツアーの途中には、参加者全員で地元銀行を訪れ、「将来の利益を受け取るため」と言われ、それぞれ銀行口座まで開いたという。
 そして最終日。ホテルの会議室に集まった参加者の前には、見学した企業の将来の上場を見越して、未公開株や不動産投資を組み合わせたというファンドの契約書が置かれていた。知人によると「その時点ではすでに、ほとんどの人が契約する気になっていた。実際、大半がその場でサインした」という。
 ところが、帰国後、知人は投資金を指定された銀行口座に振り込んだ後、不審な点に気づく。振込先がタイの銀行で、しかも口座名も契約先の企業ではなくタイ人らしい個人名義だったのだ。そこで事実関係を問い合わせたところ、「時間が欲しい」「信じてくれ」というばかり。このため解約を申し入れたが、連絡が徐々に取れなくなったという。
この手口の巧妙なのは、2016年予定の株式市場開設までは解約できないうえ、運用はすべてお任せという点だ。少なくともそれまで3年間は、実際に企業に投資したのかどうかさえわからない。契約書を見せてもらうと、すべて日本語。専門家に聞くと、ミャンマーの場合、契約書の正文はミャンマー語で、英訳がつく。そうでないと何の効力もないという。
 ミャンマーの民主化や経済開放は始まってまだ2年余り。法整備が遅れ、手続きも複雑なだけに、実情を知りたい投資家や企業経営者でセミナーはどこも大盛況だ。参加者の中には、専門家の振りをして“獲物”を狙う輩も来る。もっともミャンマー投資に限ったことではない。詐欺師はどこにでもいる。
(産経新聞編集委員 宮野弘之)


Posted by hnm on 火曜日, 7月 16, 2013. Filed under , , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

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