財成し権力手中にしたミャンマーの政商 政権との「癒着構図」も改革必要



7月12日、ミャンマー・サッカー連盟の総会であいさつする若き政商、ウー・ゾー・ゾー氏(青木伸行撮影)

【シンガポール=青木伸行】
ミャンマーには、10を超える財閥と、これを率いる政商がいる。彼らは旧軍事政権と「癒着」して財を成し、権力を手にした。そうした財閥、政商と現政権との関係が今後、経済改革が進む中で是正されていくか否かが注目されており、変革の重要な対象の一つといえそうだ。
 7月12日、最大都市ヤンゴン市内のホテルで開かれたミャンマー・サッカー連盟の総会。会長のウー・ゾー・ゾー氏は2021年までの戦略を、約1時間にわたり熱っぽく語った。
 「日本のように、子供の時からサッカーに興味をもたせ、トレーニングを施す環境づくりが必要だ」
 堂々としたたたずまい、エネルギッシュな口調。「サッカーだけではなく、国のすべての分野を発展させたい」と、力を込めた。
 40歳代後半。貿易や建設、飲料、ホテル、鉱業、観光、宝石、石油、製造…。多岐にわたるビジネスを展開する財閥「マックス・グループ」を率いる。1990年代に創業の、ミャンマーでは最も新興の財閥だ。ウー・ゾー・ゾー氏は最年少の政商である。
創業前の90年代初め、日本で中古車の輸入などを手がけ、今日の富を築く契機になったようだ。東日本大震災では日本に援助した。一方ではタン・シュエ前国家平和発展評議会(SPDC)議長らに近い人物として、米政府のブラックリストに載った。
 財閥と政商の多くが、80年代後半からのし上がり、富と権力を築いていった。その手法と活動の実態は闇に包まれている。
 現地の事情通は「政商は政権幹部に食い込み、賄賂と引き換えに事業の許認可を独占的に得ていった。欧米の経済制裁の下で、政権も彼らを経済発展、開発の担い手として使った」と解説する。
 海外からの投資と企業の進出が進む今も「癒着の構図」は半ばタブー視されている。消息筋は「政商の活動の透明化や、政商への適切な課税と納税の履行などが重要になる。さもなければ、政権も財閥も国内外からの信頼を損なうことになる」と警鐘を鳴らす。




Posted by hnm on 水曜日, 8月 28, 2013. Filed under , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

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