ミャンマーで邦人向け診療 日本の民間医療機関進出が本格化
bcjpnol, bcjpnon, bcjpnoo, Han Sein 日曜日, 2月 15, 2015
日本で乳がん検診の研修を受けたミャンマー人医師と、日本メーカーのデジタルX線画像診断システム。これまでは医療機器や設備を提供してきたが、日本人医師が常駐するクリニックが開設される=ヤンゴン中央婦人病院
日系企業の進出が進むミャンマーで、日本の官民による医療進出が本格化する。民間では愛知県一宮市に拠点を持つ社会医療法人大雄会(伊藤伸一理事長)が最大都市ヤンゴンに、日本の医療機関としては初めて日本人医師が常駐するクリニックを開設する方針を決めた。また、国際協力機構(JICA)もヤンゴンや地方都市で公立病院の建て替えなどを進めている。日本の医療機器や設備の提供にとどまらず、人材育成を含めてミャンマーでの医療の底上げを図る。
大雄会は、ヤンゴン国際空港に近い民間のビクトリア病院の中に、地元資本と合弁で日本人向けのクリニックを開設する計画だ。クリニックには日本人医師と看護師それぞれ1人を常駐させ、在留邦人や日本人観光客などの診療を行う。ミャンマー保健省などとの最終調整を経て、遅くとも「2015年度中には新クリニックを開設したい」(伊藤理事長)としている。
大雄会が進出を決めたのは、日本語で安心して診療や治療が受けられるようにするためだ。東南アジアでは、在留邦人が多いシンガポールやタイ・バンコクなどには日本人医師が常駐する医療機関がある。大雄会では経済発展が進むヤンゴンには、今後も観光客も含めて滞在する日本人が増え、医療ニーズはさらに高まるとみて、クリニック開設を決めた。
ミャンマーは公的医療保険がないこともあって、医療機関は医療費は安いが、設備や機器が老朽化しているヤンゴン総合病院などの公立病院と、設備が整っているが高額な民間病院やクリニックに二極化している。
大雄会がクリニックを開設するビクトリア病院は、11年に新設された民間病院で医療機器やスタッフもそろっており、利用者の多くはヤンゴンに住む富裕層や欧米などの外国人駐在員だ。ただ、日本人医師はおらず、言葉に不安がある在留邦人の間には、日本語で受診できる医療機関を望む声が高かった。
新クリニックでは内科を中心に初期の診断や治療を行う。さらに詳しい診断や専門治療が必要な場合はビクトリア病院内の専門医を紹介し、専門的な治療を受けることができる。また、国際的な医療輸送サービスを展開する企業と提携し、必要な場合はタイやシンガポール、さらに日本の病院に患者を移送できる体制を整える。
一方、経済産業省の「日本の医療・サービスの海外展開の調査事業」の一環として、大雄会は一昨年、ミャンマーにおける救急医療サービス事業に関する調査を行っている。将来、日本政府がミャンマーの救命救急医療体制の整備に乗り出す場合などは、何らかの形で参画することも検討している。
こうした民間の取り組みの一方で、公立病院についてはJICAの無償資金協力を使った改修・整備が進んでいる。日本政府は昨年、カヤ州のロイコー総合病院と、シャン州のラーショー総合病院の完全建て替えと医療機材の整備のため、総額で34億5500万円の無償資金の贈与を決めた。
いずれも少数民族地域の中核病院だが建設から半世紀以上が経過し、老朽化が激しいため、改修でなく、完全に建て替えることにした。ヤンゴン市内にある公立の総合病院については、改修や建て替えに向けた調査が進む。ミャンマー側の要望が固まっていないこともあって、方向性が出るのは来年度になりそうだ。
http://www.daiyukai.or.jp/
ビクトリア病院(Witoriya General Hospital)
SOSとならんで、外国人が受診するメジャーな病院がここ。民主化以降の開院で、リゾートホテルの建物を改装しています。(裏に水を抜かれたプールがあり名残りをとどめている)
開院当初は、「Witoriya General Hospital」と表記していましたが(いまも少し残っている)、昨年あたりからVictoria Hospitalと自然な英語になりました。
富裕層や外国人向けの病院で、教授クラス・部長クラスの医師がアルバイト先として曜日・時間を決めてやってきます。これは多くの途上国で見られるシステムで、ベテラン医師たちは本職の大学や公立病院で半日テキトウに低賃金労働をし、残る半日を富裕層向け医療期間で何倍も給料もらって、モチベーションもグッと上がった状態で働く・・・ほぼすべての途上国で見られる話です。ふつうの庶民ではなかなか顔を拝めない「その国の名医」たちが入れ替わりやってくる。
ビクトリア病院の「医者のカタログ」には、そんな医者が150人ばかり一覧表になっています。
一方で、トレーニング中の若い先生たちもいます。私が最初にここへうかがったのはDSMA教授にお連れいただき、講演を要請されたのですがその熱心な態度は印象に残っています。
病室は富裕層向け医療機関の典型です。この写真を見て豪華さに驚く向きもあるかと思いますが、途上国はどこでも貧富の差が激しいですから、富裕層向けはこんなものです。驚くほどのことでもなく、どこの国にもこういう部屋ってあります。
でも、ここならではというものも。
仏様の前で瞑想が出来るオープンスペース。これはいいですね。
この国の高級病院に期待されることはもうひとつあります。
ここで治療出来ない患者さんを、スムーズにトラブルなく、医療先進地(シンガポールとかタイとか)にお連れ出来ることです。そのためのプロ、アシスタンス会社と提携があるのかどうかというもの高級病院の良しあしを分けます。ここはレオメディカルという会社としっかり提携しているのですが、そういう外資系企業は、写真の感覚も先進国的でして、「ここは撮らないでください」と言われたりします。お目にかけられないのが残念。
管理状況を見てみましょう。管理がきちんとなされているか、ひとつの指標はトイレの清潔さです。こんな風です。まあ、これなら腰をおろしても良いかというレベル。
客間に通されふと見ると、花瓶にこんなステッカーが。こんな備品もキチンと管理されているのですね。こういう所もチェックポイント。
先日のセミナーで、ここに進出を計画しておられる日本の医療機関の方とお話しました。公表可否は聞き忘れたので、またその話はいつかということで。将来、ここで日本語が通じるなんてことが起きるかもしれません。
なお、上記、講演後の私にプレゼントをくれている右側の人はDSMAの精神科教授です。彼はここで週3回バイトをしています。メンタルでちょっと困ってる人、”ちょっと”とは、日本語でこみいったカウンセリングは要らないけれど、時折眠れなくて眠剤欲しいとか、服用中の薬があり処方はわかっているけれど・・・という人は、彼を受診して相談すると良いでしょう。