中小企業の東南ア進出、商社後押し 貸工場や手続き・管理代行で存在感




東南アジア諸国連合(ASEAN)に進出する中堅・中小企業を支援しようと、大手商社が存在感を高めている。工業団地の造成地拡張や貸工場の整備を強化するほか、会社設立の事務手続きや管理部門代行サービスなど、商社の強みを生かした行き届いたサービス競争でしのぎを削る。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、今年上期(1~6月)の日本企業の対外直接投資額は、ASEAN向けが前年同期比55.4%増の102億ドル(約1兆50億円)で過去最高を記録、対中国向けの2倍超に膨らんだ。
 中でも、安価な労働力と消費市場としても注目を集めているのがフィリピン。住友商事は来年6月にも約6億円を投じ、マニラ近郊で共同運営する工業団地内に貸工場を4棟建設する計画だ。増設中の隣接の工業団地内にも、貸工場を追加することも検討している。同社の飯島淳・海外工業団地部第2チームリーダーは「フィリピン政府が自動車産業の誘致に向け優遇税制を導入する動きもあり、日系企業の進出は今後も増える」とみる。
 大手商社は、ベトナム北部などでも工業団地を展開しているが、同国の人件費が高騰する中、フィリピンの魅力が再評価されており、日系企業の進出ブームを期待する。
 また、インドネシアでは、大手自動車メーカーの海外生産拡大を受け、生き残りをかけて進出に踏み切る中小企業が増えている。進出企業は2次、3次下請けまで広がり、タイに次いで自動車産業の集積が進む。
 民主化が進むミャンマーでも、三菱商事、丸紅、住友商事などが中心となり月内にも、ティラワ経済特別区に合弁会社を設立する。2015年に工業団地の一部稼働を目指す。
 商社の工業団地造成などのビジネスは、急激な円高を背景に1990年前後からインドネシアやタイなどで活発化した。2008年のリーマン・ショックで日系企業の進出はいったん減少したが、「東南アジアの経済成長は底堅い」とみて、進出が再び加速しているという。タイの大洪水では、進出先の災害リスクが懸念されたものの、企業の進出意欲は衰えていない。

国内では「系列」にしばられる中堅・中小企業。だが、海外では、「営業努力次第で系列以外や外国自動車メーカーなど、市場を開拓できるのが魅力」(タイに海外初進出した部品メーカー幹部)に映るという。
 豊田通商は、こうした顧客の声を反映させ、「全方位で日系部品メーカーの営業開拓を支援したい」(同社グローバル生産部品・ロジスティクス本部の龍田貴行テクノパーク室長)と判断。11月には、インドネシアのカラワン工業団地内の貸工場、テクノパーク第3期の開所式と同時に、部品などの展示場を本格的にオープンする。当初、近隣のトヨタ自動車工場の稼働をにらみ、グループ向けを想定していたが、立地の良さも手伝ってグループ以外の引き合いも増えている。すでに入居した11社のうち、5社は海外初進出の中堅部品メーカーという。
 豊田通商は、インドネシア駐在の日本人の生活支援にも着目する。日本人駐在員は、ジャカルタ市内から通勤するのが一般的だが、市内と工業団地を結ぶ道路の交通渋滞が激しく、市内の家賃は高騰しており、快適とはいえない。そこで、和食レストランや24時間態勢の日本語コンシェルジェサービスを提供するホテル・レジデンスを来年9月に開設する計画だ。
 双日や大和ハウス工業などが9月から運営を手がける、ベトナム南部ドンナイ省のロンドウック工業団地は、各社のノウハウの集大成でもある。同工業団地内に設置した貸工場には今年9月、関西の中小企業7社が共同で進出した。地域ぐるみの海外進出が増える中、「これまで以上にサービスの質が問われる」と、双日の海外開発建設部の鎌田雅彦担当部長は意気込む。
 双日は、日商エレクトロニクスやKDDI(au)と組み、クラウドと呼ばれる情報通信サービスのほか、シダックスと提携して入居企業向けの給食など、相次いでサービスを打ち出した。10月からは人材派遣会社のインテリジェンスなどと共同で、団地内に人材採用センターを開設し、入居企業の人事部門を代行するサービスも始める。
 大手自動車や家電メーカーは、中国への一極集中が招く政治的リスクを避けようと、ASEANへの分散投資を進めている。経団連の米倉弘昌会長らは今年2月、ミャンマーとカンボジアを相次いで訪問し、ミャンマーではインフラ整備や人材育成などの支援を現地で表明した。
 ただ、ASEAN域内の電力供給や上下水道などのインフラ、物流網の整備には、なお時間がかかるとみられる。商社各社は、海外での事業に不慣れな中堅・中小企業のニーズをさらに掘り下げる必要がありそうだ。(上原すみ子)

SankeiBiz

Posted by hnm on 木曜日, 10月 17, 2013. Filed under , , , . You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0

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